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© 2026 YAMAMOTO Misato
Current Exhibition
山本美里 写真展
『 #BFF - Best Friend Forever - 』
2026年3月17日(火) ~ 2026年3月29日(日) ※12:00-18:00 月曜休廊(日曜17:00迄)
※山本美里 ギャラリートーク開催
2026年3月21日(土) 16:30-18:00 定員20名 参加費無料
要予約 → https://jambooks.stores.jp/items/69b7e8426857f85bc7abce38
山本美里は医療的ケア児の母としての思いや葛藤を作品に残してきました。校内待機(特別支援学校の保護者付き添い)をテーマに制作した「透明人間ーInvisible Man」が2023年に出版され大きな反響を呼んだのは記憶に新しいかと思います。本展では2025年3月に息子さんが他界したあとに制作し続けているコラージュ作品を展示いたします。過去に撮り溜めた写真と現在の写真を重ねることで、目には見えない「彼」の存在と自身の感情の揺らぎの可視化を試みています。
[ 作家ステートメント ]
「亡くなった人を思う時間の変化はありますか?」
▽「変わらない」が49.6%で最も多く ▽「やや減った」が20.8% ▽「減った」が16.1%
▽「増えたり減ったりを繰り返している」が7.6% ▽「増えた」と「やや増えた」が合わせて5.9%(中略)防災心理学が専門で兵庫県立大学の木村玲欧教授は「亡くなった人を思う気持ちは時間経過で減るだけではなく、人生のいろいろな節目に増えることもあり、周囲は理解が必要だ。一方で、時間がたつにつれ、被災経験を客観的に見つめ、つらく悲しい経験だが自分が今後生きていく上での糧となり得る経験でもあったと、捉え直す方も増えてきたのではないか」と話しています。(2025年3月8日N H Kニュースより)
東日本大震災で大切な誰かを亡くした人たち1000人にとったアンケートが目に止まったのは私が息子を亡くして1週間ほどが過ぎた頃だった。当時の私は先のことが全く考えられずただただ空虚で、この感情が一生続いてしまうのかと生き地獄のような気持ちで過ごしていた。その反面、年月の経過とともに彼への気持ちが薄れていくのではないかという不安もあった。アンケートの結果を見て、この感情がこの先も長く続いてしまうかもしれない恐怖と、ずっと薄れることはないのだという安堵の気持ちが同時に湧いた。
喪失の感情には揺らぎがあり、悲しみは波のようなリズムでやってくるらしい。また、年月とともに悲しみの形は変化し、時が経つほど一緒に生きている感覚が強くなるらしい。息子には重度の障害があり私は生前の彼に常に帯同していたせいか、目の前で起こっていることが私に起こっていることなのか、彼に起こっているのか分からなくなることがしばしばあった。彼の死を境にかつて一心同体だった彼と別々に歩み始め、彼との距離や私自身の気持ちがどのように変化するのか。悲しみはどのようなリズムを刻んでいるのか。身体はなくなっても一緒に生きているとはどういうことなのか。私は知りたくなった。そして、もしも彼の月命日に私自身の体験や心の中を作品として吐き出すことができたなら、そういったものを可視化することができないだろうかと考えた。新たに彼の姿を写真に写すことはできないが、様々な過去や現在のイメージを重ねることで私自身の感情の揺らぎや彼の気配など目には見えないが確かに私と共にここに存在しているものを表現できるのではないか。また、制作の過程で幾重にも重なる私自身の内面を見つめることは私にとってよいグリーフケアにもなり得るのではないだろうか。制作を始めた当初は毎月作り続けられるほど彼への想いは持続するのだろうかとも思ったが、たとえ続かなかったとしても、それは彼との距離がそうさせるのだろうからよしとしようと考えた。しかし、今のところ私の作りたい気持ちには枯渇する気配はないようだ。
彼がこの世を去ってもうすぐ1年が経とうとしている。彼を亡くしてから私には彼が一緒に生きていたかもしれない「今」と、いなくなってしまった「今」の2つの時空を同時並行に生きているような感覚がある。それが「共に生きる」ということなのか。私にはまだわからないことがたくさんある。
山本美里 やまもとみさと
写真家 1980年生まれ。2008年、第3子が障害を持って生まれ、「医療的ケア」を必要な子の親となる。その息子が特別支援学校入学を機に、学校待機の日々が始まる。2017年京都芸術大学通信教育学部美術科写真コースへと進み、息子に常に付き添う自分自身を被写体とした写真作品の制作を開始。2023年12月、写真集「透明人間 -Invisible Mom-」をタバブックスより出版。現在は主に自分自身の身の回りで起きた出来事や想いをテーマにし、制作を続けている。

© 2026 Takako Chida
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千田貴子 写真展
『 記憶の小箱 2011 - 2024 』
2026年3月31日(火) ~ 2026年4月12日(日) ※12:00-18:00 月曜休廊(日曜17:00迄)
千田貴子は転勤族である夫と2011年に結婚し、千葉、福岡、大阪、東京、名古屋、北海道と約3年おきに転居を繰りました。転勤の度に全てをリセットし新たな生活をスタートすることを繰り返す中で子供が生まれ、一層目まぐるしく変化する日々の記憶を千田はカメラに刻み込みました。
「変わらないものは自分の中にしか見つけ出すことができないのではないか」
千田の揺るぎない視点があるからこそ、土地や環境が変わっても写真の中の風景は一定のリズムを保ち、物も人も、さらには家族でさえも等価な眼差しを感じられるのでしょう。本展は2025年11月に新宿ニコンサロンで開催した作品「記憶の小箱 2011-2024」を、千田貴子と鶴巻育子によって再構成した展示になります。
[ 作家ステートメント ]
転勤族の夫との結婚により2011年から千葉、福岡、大阪、東京、名古屋と転居。2024年より北海道函館に暮らす。この間に家族と共に過ごした日常の断片である。およそ3年ごとに転勤、そのたびに全てをリセットし、新たな場所での生活をスタートさせてきた。それぞれの土地には、生まれ育った場所とは異なる趣があった。環境に馴染み、新しい土地を知ろうと、夫は休日になると転居先を拠点に様々なところに連れ出してくれた。移り住んだからこそ見つけられる発見、そして土地の人間にはなれない疎外感、私はいつか離れることになるだろう土地の記憶や残像を心の中にある小箱に刻み込んだ。また、この間に子供が生まれ身の周りは目まぐるしく変化し、自分以外の社会との接点が新たに増えた。我が子の成長、そして家族という別人格と時間・空間を共有する日々。変わらないものは自分の中にしか見つけ出すことができないのではないか、とふと思うことがある。眩しいくらいの光の中で青々と生い茂る草原を見つめながらいつしか寂寥の谷の中に佇んでいる自分を感じることもあった。慣れ親しんだ土地を離れるたびに日々は一転し、身の周りは目まぐるしく変化していた。いつの間にか引かれていた境界線が揺るぎ、異なる領域を行ったり来たりと彷徨う。目には見えないその向こうにあるなにものか、それは時に敢然とした姿で立ち現れ、消えていった。気づくと取り囲むすべてのものに儚さと愛しい思いを抱き、自分の内にある遠い記憶を立ち上がらせることに夢中になっていた。
千田貴子 ちだたかこ
1972年東京生まれ 文化学院美術科卒業
主な写真展
「ガラスの半球 Glass-Walled Hemisphere」(銀座ニコンサロン2003)
「Hémisphère vitré」(Galerie Plus du Sudフランスアルル2003)
「Anonymous City」(新宿ニコンサロン・大阪ニコンサロン2006)
「2007度ヤングポートフォリオ展」(清里フォトアートミュージアム2008)
「沙漠の雨」(銀座二コンサロン2009)
「Glass-Walled Hemisphere」(Gallery M 韓国ソウル2009)
「ガラスの半球 Glass-Walled Hemisphere」(愛知 Ban Photo Gallery 2010)
「草のゆりかご」(銀座ニコンサロン・大阪ニコンサロン2017)
「記憶の小箱 2011-2024」(ニコンサロン 2025)
など他グループ展多数
パブリックコレクション
フランス国立図書館
清里フォトアートミュージアム

© 2026 Yoshihiro Tatsuki © 2026 Ikuko Tsurumaki © 2026 Kentaro Kumon
Upcoming Exhibition
立木義浩・鶴巻育子・公文健太郎 写真展
『 馬のしっぽ 』
2026年4月14日(火) ~ 2026年4月19日(日) ※12:00-18:00 (日曜17:00迄)
※ ギャラリートーク開催
2026年4月18日(土) 16:00-17:30 定員25名 参加費1,000円(税込)
要予約 → https://jambooks.stores.jp/items/69bb544ecb9db800400577b6
3人の写真家が2026年1月12日、成人の日に撮影した写真で構成されます。2025年の年末、ひょんなことから同じ日に撮影し展示する企画が持ち上がり、直ぐに撮影、展示案、写真集制作へと進みました。
それぞれが同じ日に見た景色を、違う場所、違うカメラで捉えています。写真の難しい話はさて置き、写真を撮ることの幸福感、現実が写真に変わることで見えてくる面白さ、ただただ写真は楽しいと感じていただけますと幸いです。
[ ステートメント ]
去年の12月、立木センセイと公文健太郎、私の三人で外苑前近くのビストロでワインを飲んだ。話題はもっぱら写真の話だ。流れに流れて「同じ日に写真を撮ってそれを展示するなんておもしろいんじゃないか」ということになり、撮影日は1月12日、成人の日にあっさり決まった。
そのときセンセイが、唐突に馬の話を始めた。「馬のしっぽは垂れているのがいい。それが美学だ」と言う。勢いよく垂れているしっぽではなく、じっと静かに垂れ下がっている状態が良いそうだ。公文も私も妙に納得したが、正直どこまで理解できていたかは怪しい。ほろ酔いの帰り道、今日はいい話を聞いたという満足感があった。おそらく哲学的な話だったに違いないが、翌日に残っていたのは「馬のしっぽ」という言葉だけだった。
それぞれが見たその日の景色は、写真になった。公文健太郎の写真には、小さな足が写っている。偶然にもその日は第三子の誕生の日だった。人生も写真も、こうして断片が勝手に写り込み、後から意味が追いついてくるのかもしれない。主張せず静かにそこにある馬のしっぽみたいに。 (鶴巻育子)
立木義浩 たつきよしひろ
1937年徳島市生まれ。東京写真短大(現・東京工芸大学)技術科を卒業。カメラ毎日に掲載された「舌出し天使」などで、1965年に日本写真批評家協会新人賞を受賞。1969年にフリーとなる。2010年には日本写真協会賞作家賞を受賞し、2014年には文化庁長官表彰を受ける。主な作品に「私生活 加賀まりこ」(毎日新聞社)、「家族の肖像」(文藝春秋)、「東寺」(集英社)などがある。
鶴巻育子 つるまきいくこ
1972年東京生まれ。1997年の1年間渡英し語学を学ぶ。帰国後周囲の勧めで写真を学び始めた。カメラ雑誌の執筆や写真講師など幅広く活躍する一方、2019年に東京・目黒に写真ギャラリーJam Photo Galleryを開設し、著名写真家の企画展や若い写真家への場の提供、アマチュアの育成にも力を注いでいる。国内外のストリートスナップで作品を発表しながら、視覚障害者の人々を取材し「みること」をテーマとした作品にも取り組んでいる。2025年『ALT』で第33回林忠彦賞受賞。
公文健太郎 くもんけんたろう
1981年生まれ。ルポルタージュ、ポートレートを中心に雑誌、書籍、広告で幅広く活動。同時に「人と自然の接点」をテーマに主に一次産業の現場を取材。写真集に日本全国の農風景を撮影した『耕す人』、川と人のつながりを考える『暦川』、半島を旅し日本の風土と暮らしを撮った『光の地形』、瀬戸内の島に起こる過疎化をテーマにした『NEMURUSHIMA』などがある。最新作として父との関係性を通して一年間をかけて撮影したスナップ写真集『煙と水蒸気』がある。2012年『ゴマの洋品店』で日本写真協会賞新人賞受賞。2024年日本写真協会賞作家賞受賞。
